【単位01】中古マンションの寿命と持続可能性

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【学習】中古マンションの寿命と持続可能性

中古マンションの寿命とは?

中古マンションの寿命とは?

中古マンションの購入を検討する場合、多くの消費者は、その物件の「寿命」が気になるものです。

専有部分は、新築同様にリノベーションされていても、共用部分は、古い状態のままの中古マンションも珍しくありません。

消費者から「この物件は、あと何年くらい住めるものなのか・・・」など、中古マンションの寿命に関して、質問を受けた際に、消費者が納得できる合理的な回答をする不動産営業マンは少ないと言えます。


中古マンションの寿命=持続可能性

中古マンションの寿命とは、中古マンションの「持続可能性」とも表現できます。

国語辞書では、持続可能性を「環境・社会・経済などが将来にわたって適切に維持・保全され、発展できること」と解説されています。

中古マンションの「寿命」や「持続可能性」とは、物件の「資産価値」そのものでもあります。
マンション査定士の学習では、中古マンションの持続可能性を査定するために必要な知識として、「修繕積立金査定」、「物理的劣化年齢査定」、「機能的劣化年齢査定」の基本的な考え方についてを学びます。


修繕積立金査定とは

「修繕積立金査定」とは、月々の修繕積立金額、及び、管理組合で既に積立てられている修繕積立金の総額が、将来にわたり計画的な大規模修繕工事を実施するうえで十分か否かを判断するための概念のひとつです。

これは、中古マンションの資金的な持続可能性を査定するうえで最も重要な指標のひとつとなります。
この概念により、マンション査定士は、将来にわたり中古マンションの持続可能性を維持するために必要な大規模修繕工事の資金的な裏付けについて、消費者へ合理的な説明ができるようになります。


物理的劣化年齢査定とは

「物理的劣化年齢査定」とは、大規模修繕工事の実施履歴を考慮して、中古マンションの構造体の物理的劣化状況を年齢で表現する概念のひとつです。

この概念により、マンション査定士は、中古マンションの構造躯体部分の寿命について、消費者から質問を受けた場合であっても、合理的な回答をできるようになります。


機能的劣化年齢査定とは

「機能的劣化年齢査定」とは、給排水管の修繕履歴を考慮して、中古マンションの給排水管の機能的劣化状況を年齢で表現する概念のひとつです。

この概念により、マンション査定士は、中古マンションの共用部分の給排水管や専有部分の給排水管の寿命について消費者から質問を受けた場合であっても、合理的な回答をできるようになります。

これら3種類の査定を取りまとめたものが、マンション査定士による中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方となります。

認定証を持つ女性
マンション査定士とは、修繕積立金査定、物理的劣化年齢査定、機能的劣化年齢査定の基本的な考え方についての学習を修了した人の証です。


高経年マンションの増加

国土交通省のWEBサイトで公開されている資料(マンション政策の現状と課題)によると、
築40年を超えるマンションは平成30年時点では、約81.4万戸、
令和10年には約2.4倍の197.8万戸、
令和20年末には約4.5倍の366.8万戸になるなど、
今後、築年数が古い高経年マンションが急増する見込みというデータがあります。

高経年マンションの増加

高経年マンションストックの増大
※出典:国土交通省-マンション政策の現状と課題 P-2(pdf)

このことから、少子高齢化が進む日本では、今後、新設着工戸数は減少して、逆に、住宅ストックが増加することで、新築よりも中古マンションの流通の方が主流になると予測することができます。


アタリとハズレの中古マンションが存在

中古マンション市場では、修繕状況が悪い、または、修繕積立金が不足していて、資産価値が低い「ハズレ」の中古マンションと、修繕状況が良い、または、修繕積立金が潤沢で、資産価値が高い「アタリ」の中古マンションが混在して流通しています。

修繕不足の懸念-円グラフ

高経年マンションにおける修繕不足の懸念
※出典:国土交通省-マンション政策の現状と課題 P-7(pdf)

一般に不動産会社が「築年数」「立地」「広さ」などが、ほぼ同じ条件下にある、2つの中古マンションを取引事例比較法のみで価格査定した場合は、両物件ともに似たような価格帯で流通される事となります。

しかし、片方は、計画的な大規模修繕工事の実施履歴を確認できる「中古マンションとしての持続可能性が高い物件」、もう一方は、大規模修繕工事の実施履歴を確認できない「中古マンションとしての持続可能性が低い物件」であっても、取引事例比較法だけで価格査定された場合では、両物件ともに似たような価格帯で流通している事も珍しくありません。

現在、中古マンションを購入する多くの消費者は、このような修繕積立金や修繕状況を販売価格に反映されていない物件を知らずに購入しているのが実状です。

マンション査定士の中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方は、この「アタリ」と「ハズレ」の中古マンションを見極めるための指標のひとつとなります。

タブレットを操作する査定士

マンション査定士が、修繕積立金査定、物理的劣化年齢査定、機能的劣化年齢査定を行なうことにより、消費者は、その中古マンションの修繕積立金の多寡や修繕状況を確認して取引きできるようになります。


中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方で市場の流通性を高める

適切な修繕積立金や大規模修繕工事の実施履歴を確認できれば、中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方により、築年数だけでは判断できない、物件の持続可能性の高さが明確になりますので、中古マンション市場においての流通性を高める事が出来ます。

逆に、適切な修繕積立金や大規模修繕工事の実施履歴を確認できなければ、不適切な実態が浮き彫りとなり、物件の持続可能性の低さが露呈されますので、消費者は、資産価値が低い中古マンションの購入を避けることが出来ます。

もし、マンション査定士が「持続可能性が低い中古マンションである」と査定した場合であっても、修繕積立金査定、物理的劣化年齢査定、機能的劣化年齢査定の考え方により、その原因や問題点が具体的に分かりますので、管理組合は、物件の持続可能性を高めるための計画が組みやすくなります。

住宅ストック数

高経年マンションストックの増大

※出典:国土交通省-マンション政策の現状と課題 P-2(pdf)

今後、高経年化が進む中古マンション市場では、不動産売買などの取引時に物件の持続可能性を問われる機会が増えることが予測されます。

その時に、マンション査定士の中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方を、物件の持続可能性を判断するための指標のひとつとして活用することが出来ます。