【単位04】中古マンション寿命査定の考え方

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【学習】中古マンション寿命査定の考え方

寿命が長いマンションとは

中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方

マンション査定士の中古マンション寿命査定についての考え方は、修繕積立金査定、物理的劣化年齢査定、機能的劣化年齢査定の3種類から成り立ちます。

中古マンションの構造体や給排水管は、過去に適切な修繕工事を実施してきた物件と、修繕工事を怠ってきた物件とでは、持続可能性が大きく異なります。

持続可能性が高い物件

構造体の「物理的劣化」と、給排水管の「機能的劣化」は、適切な修繕工事の積み重ねにより進行を遅らせることができます。

適切な修繕工事が実施されている中古マンションでは、実際の築年数よりも遅く各部の劣化が進展すると考えます。

これは、建物の寿命の到来を先送りする事を意味しますので、中古マンションとしての持続可能性が高い物件であると判断する事が出来ます。

物理的劣化年齢 持続可能性が高いマンションの解説グラフ

このような場合、「物理的劣化年齢」と「機能的劣化年齢」は、実際の築年数よりも若い年齢の中古マンションであると査定される事となります。


寿命が短いマンションとは

持続可能性が低い物件

適切な修繕工事が実施されていない中古マンションでは、実際の築年数よりも早く各部の劣化が進展すると考えます。

これは、建物の寿命が早く尽きる可能性が高い事を意味しますので、中古マンションとしての持続可能性が低い物件であると判断できます。

物理的劣化年齢 持続可能性が低いマンションの解説グラフ

このような場合、「物理的劣化年齢」と「機能的劣化年齢」は、実際の築年数よりも歳をとった年齢の中古マンションであると査定される事となります。
このように「適切な修繕工事の実施履歴」と「各部の劣化の進展」の相関関係を表す、マンション査定士の独自の概念を「物理的劣化年齢」と「機能的劣化年齢」という指標で表現します。


取引事例比較法とマンションの寿命

「取引事例比較法」と「中古マンション寿命査定」の考え方

一般に不動産会社が行なう中古マンションの売却価格査定では、取引事例比較法が用いられています。

不動産会社が行なう取引事例比較法では、同一、若しくは、近隣にある類似の中古マンションの成約事例や販売事例を基に売却価格が査定されます。

しかし、「大規模修繕工事の実施履歴」や「修繕積立金の状況」については、必ずしもその査定結果に反映されているとは言えません。

2つの視点で判断する

そこで、取引事例比較法による売却価格査定とは別に、マンション査定士が中古マンション寿命査定を行なうことにより、中古マンションの持続可能性という 異なる視点で、その物件の資産価値を判断できるようになります。

ただし、中古マンションごとに異なる立地や需要の違いがあるため、中古マンション寿命査定の結果を画一的に数値を定めて具体的な価格査定に組み込んで計算する事は出来ません。

中古マンションに限らず不動産の資産価値は、立地と利便性が重視されることから、需要と供給のバランスが最も物件の価格に大きく影響する要素となります。

そのため、中古マンションの具体的な価格査定の方法は、今後も取引事例比較法を用いて計算することとなります。

従って、中古マンション寿命査定の結果は、取引事例比較法で査定された価格が、中古マンションの持続可能性という観点からみて妥当か否かを判断するための補足の情報として利用するものとなります。


マンション寿命の計算方法

中古マンション寿命査定の計算方法

このマンション査定士の学習では、修繕積立金査定、物理的劣化年齢査定、機能的劣化年齢査定の各アルゴリズムや計算の仕組みについてを詳しく学んでいきます。

しかし、実務で活用する場合、物件ごとに手計算するのでは、時間と手間がかかります。

スマホで計算するイメージ

そこで、当協会では、スマートフォンやパソコンを使用して、各査定の計算ができるように、WEB上に「マンションアセスメント」専用フォームを用意しました。

物件の概要、修繕積立金、過去の修繕履歴などの情報をWEB上の専用フォームに入力する事で、自動的に「修繕積立金査定」、「物理的劣化年齢査定」、「機能的劣化年齢査定」の複雑なアルゴリズムの計算が完了しますので、効率的に中古マンション寿命査定を行なうことができます。
この専用フォームは、誰でも無料で利用する事が出来ます。

しかし、誰でも査定する事が出来ても、マンション査定士の学習を修了して査定のアルゴリズムや概念を理解している資格登録者が中古マンション寿命査定をするのと、学習せず理解していない人が査定した場合とでは、その結果の信頼性に大きな差があります。

そこで、その違いを明確にするために、マンション査定士の資格登録者であれば、マンションアセスメントの結果にマンション査定士登録番号と氏名を記載することができます。

これにより、マンション査定士の資格登録者が作成したマンションアセスメントと、そうでない人が作成したマンションアセスメントに差別化を図ることができます。


査定結果の注意点

各査定の数値とアルゴリズムについての注意事項

中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)の考え方では、共用部のエレベーター設備やポンプ設備など、電気設備、機械設備、ガス設備、給湯設備などの劣化状況については査定のアルゴリズムに含まれていません。

修繕積立金が潤沢で「構造体」「給排水管」が適切に修繕されている管理状態であれば、他の設備も同様に修繕されている可能性が高いという前提で査定しています。

マンション査定士では、日本建築学会で設定している「計画供用期間」や「供用限界期間」、国土交通省で公表している修繕積立金に関するガイドライン、その他一般論や学説を基に各査定に関する数値とアルゴリズムを設定しています。

ただし、これらの数値とアルゴリズムで計算する査定方法は、全ての中古マンションに当てはまるものではありません。

また、各査定の結果は、必ずしも実際の耐用年数や建物寿命と完全に一致するというものではありません。

あくまでも、マンション査定士の中古マンション寿命査定(マンションアセスメント)についての考え方は、、物件の持続可能性を判断するための指標のひとつとして利用する事を目的としています。

査定の数値やアルゴリズムについては、現時点よりも合理的な考え方や学説が出てきた場合、当協会の判断で査定方法や基準が随時変更される可能性があります。

その場合、マンション査定士の資格登録者の方へは、その都度お知らせ致します。