【単位14】マンション査定士の現地確認

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【学習】マンション査定士の現地確認

現地確認の目的

マンション査定士による現地確認の目的

現地確認は、「物理的劣化年齢査定」や「機能的劣化年齢査定」を行なうにあたり、書類だけでは確認する事が出来ない、構造体や給排水管に存在する不具合の有無を確認するために行ないます。

ただし、マンション査定士の現地確認では、以下の6箇所を主に目視や触診などで確認する程度にとどめます。

もし、各劣化年齢査定に影響する不具合を発見した場合であっても、マンション査定士は、建築の専門家ではありませんので、発見した不具合の深刻度合いや詳細を診断する事は出来ません。

中古マンションの構造体や給排水管などに不具合を発見して、その深刻度合いなどを更に詳しく調べる必要がある場合は、一級建築士やホームインスペクターなどの建築の専門家に調査や診断を依頼する必要があります。


現地確認を行う箇所

マンション査定士が現地確認を行なう箇所

マンション査定士では、主に以下の5ヶ所について現地確認を行ないます。

1.共用廊下やベランダ
専有部分前の共用廊下や階段から見える範囲にある「外壁」、「床」、「天井」などのコンクリート部分を確認します。
専有部分に入室が可能であればベランダでも同様の確認をします。
2.エントランス
エントランス付近で見える範囲にある「外壁」、「床」、「天井」などのコンクリート部分を確認します。
3.パイプスペース
専有部分付近にあるパイプスペース内の給排水管を確認します。
4.室内水回り
専有部分に入室が可能であれば、室内の水回り設備で給排水管の流水状況などを確認します。
5.室内にある点検口
専有部分に入室が可能であれば、室内の天井や床にある点検口から給排水管を確認します。

マンション査定士は、上記1~5の箇所で不具合の有無を確認します。
ただし、上記以外の箇所であっても、下記の「不具合の定義」に該当する事項を目視で容易に確認できる場合は、上記の箇所と同様に考慮して各劣化年齢査定を行なうものとします。


不具合の定義

各劣化年齢査定においての不具合の定義

「物理的劣化年齢査定」や「機能的劣化年齢査定」では、構造体や給排水管に「不具合」が存在している場合、中古マンションとしての持続可能性が低くなると判断します。

マンション査定士の現地確認では、建築の専門家でなくても、中古マンションに存在する不具合について、簡易的に判断できるように不具合を下記の2つに分類して定義しています。

  1. 構造体の劣化に関わる不具合の定義
  2. 給排水管の不具合の定義
構造体の劣化に関わる不具合の定義

下記の1~7に該当する不具合を発見した場合は、「構造体の劣化に関わる不具合」が存在すると判断します。

1.構造体が損傷して鉄筋が露出している。または爆裂現象を1ヶ所以上発見した場合
爆裂現象
爆裂現象

2.構造体の「ひび割れ」から「白華(エフロレッセンス)」や「錆汁」が発生している箇所を1ヶ所以上発見した場合
白華現象
白華現象

3.構造体の防水性能が低下して漏水(雨水侵入)している可能性がある箇所を1ヶ所以上発見した場合
雨水侵入
雨水侵入

4.軒や屋根がない部分の構造タイルの剥がれ落ちを3ヶ所以上発見した場合
タイルの剥がれ落ち
タイルの剥がれ落ち

5.軒や屋根がない部分の構造体に幅0.3mm以上のクラックを3ヶ所以上発見した場合
幅0.3mm以上のクラック
幅0.3mm以上のクラック

6.軒や屋根がある部分の構造体に幅0.5mm以上のクラックを3ヶ所以上発見した場合
幅0.5mm以上のクラック
幅0.5mm以上のクラック

7.軒や屋根の有無に関わらず構造体の外壁塗装で剥離や浮きを3ヶ所以上発見した場合
外壁塗装の剥離や浮き
外壁塗装の剥離や浮き

以上1~7について「目視」や「触診」などで確認します。
※コンクリート部分のクラック幅は、クラックスケールを使用して計測します。


給排水管の不具合

給排水管の不具合の定義

下記1~4に該当する不具合を発見した場合を給排水管に不具合があると判断します。

  1. 共用廊下などにあるパイプスペースで給排水管に「漏水」を確認できる場合
  2. 専有部分の「キッチン」「洗面」「トイレ」「浴室」などで水を流し、排水管に「詰り」「逆流」などを確認できる場合
  3. 専有部分の「キッチン」「洗面」「トイレ」「浴室」などで水を流し、給水管に「詰り」「赤水」「濁り」などを確認できる場合
  4. 専有部分の点検口から見える範囲の給排水管で「漏水」を確認できる場合

以上1~4について「目視」や「触診」などで確認します。


致命的な不具合と注意点

致命的な不具合の定義

マンション査定士では、以下の1~3に該当する場合、致命的な損傷や不具合があると判断します。

  1. 新築時からの施工会社による手抜工事や施工不良などが存在するマンション。(一般的に「欠陥マンション」と呼ばれるもの)
  2. 通常の大規模修繕工事などで是正が困難な持続可能性に関わる重大な不具合が存在するマンション
  3. 旧耐震の建築基準法で建設され、耐震補強改修工事が未実施のマンション

上記の定義に該当しない不具合であっても、一級建築士やホームインスペクターなどの建築の専門家が致命的な損傷や不具合があると判断した場合は、各劣化年齢査定に反映する必要があります。

一級建築士やホームインスペクターとの連携

消費者から、マンション査定士の現地確認項目以上の詳細な建物調査の要望があった場合は、マンション査定士は、建築の専門家ではありませんので、自ら調査せず、一級建築士やホームインスペクターなどの建築の専門家に診断や検査を依頼する必要があります。

もし、一級建築士やホームインスペクターなどの建築の専門家が持続可能性に関わる不具合があると判断した場合は、それがマンション査定士の不具合の定義に該当していない場合であっても、各劣化年齢査定に反映する必要があります。